3月から始まった日本の水際対策の緩和により、日本とルクセンブルクの間でも出張する人が増えてきました。先日来日したルクセンブルクの複合素材3DプリンタスタートアップのanisoprintのCEOも、オンラインで続けてきた日本企業との商談を一歩進めることを期待していました。戦争、資源価格の高騰、急速に進む円安など、不安要素が多い中ではありますが、日欧間の人的交流の再開が貿易投資交流に再び活力をもたらすことを願います。

これまで、多くの日本のテックスタートアップに参加頂いたルクセンブルクのテックイベント『ICT SPRING』が6月30日・7月1日に開催されます。3年ぶりとなるリアル会場のみでの開催に期待が高まります。日本を含む、世界9か所の貿易投資事務所推薦のスタートアップに無料ブースを提供しますので、ご興味ある方は是非、当事務所までお問合せください。また、選抜された企業からさらに選考を行い、「フィンテック」「宇宙」「デジタル」「サイバーセキュリティー」それぞれの分野から各3社には、会場でのピッチの機会も提供されます。さらに、当事務所では、上記イベント参加日本企業向に現地企業・機関への訪問や交流会などの追加プログラムをご用意する予定です。コロナ渦で中止していた現地でのツアーを再開できることを、とても嬉しく思います。

先日、在日ベルギー・ルクセンブルク商工会議所(BLCCJ)主催のウェビナーで、日本とルクセンブルクの貿易関係についてお話ししました。同ウェビナーは、ベルギ―・ルクセンブルクと日本の貿易に日欧EPAとパンデミックが与えた影響を考察するのがテーマの一つでしたが、結論から言ってルクセンブルクと日本の統計からはほとんど変化が見られませんでした。その理由としては、金融やIT関連などサービス貿易がモノの貿易の倍以上を占めるため、日欧EPAの主要関税低減分野ではなかったこと、また、コロナによる物流の停滞や実消費の低迷に影響を受けにくかったことがあげられます。実際、日・ルク間のサービス貿易額は2019年から2020年にかけて増加していました。一方、ベルギーは、パンデミック下でファイザーのワクチン製造工場の一つがベルギーにあることから対日輸出が大幅に増加したこと、またEPAに関しては、チョコレートを含む食品分野でEPA活用による関税削減の実績が上がっている状況が報告されました。隣同士の国で異なる状況があり興味深かったです。

昨年末の当事務所のグリーティングカードのアニメーションをご記憶でしょうか?ほのぼのとしたイラストで、それぞれの家に孤立していた人たちがクリスマスに集い交流する様子を描いていました。このアニメーションを作成したルクセンブルクのイラストレーター、Lynn Cosyn氏の作品が大丸東京店のギャラリーで展示されています。ヨーロッパの若手女性アーティストの作品を扱うDeCasaによる出店の一角です(https://decasa.jp/blogs/posts/daimaru-asumise-popup)。お近くにお越しの際には是非立ち寄ってみて下さい。

 

エグゼクティブ・ディレクター

松野百合子

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