6月23日はルクセンブルクのナショナル・デーでしたが、ルクセンブルクでは今年も昨年に続いて多くのイベントが見送られました。東京の大使館でも残念ながらこの2年間祝賀レセプションを開催できずにおります。ナショナル・デーは、「その国にとって最も記念すべき日」とされ、建国記念日や独立記念日、君主の誕生日としているところがほとんどです。ルクセンブルクの場合は「君主の誕生日を正式に祝う日」とされていますが、これは3代続けて君主の実際の誕生日とは異なる6月23日を祝祭日としているからです。19世紀から記録が残る大公の誕生日のお祝いは、1919年に即位したシャルロット女大公によって、1月23日の女大公の実際の誕生日から、季節がよく国民が祝日を楽しめる6月23日に移動されました。戦後に国の祝日として法令で定められ今日に至っています。ルクセンブルクのナショナル・デーは、前夜祭の松明行列や花火、コンサート、ミリタリーパレードと、例年であれば華やかな行事が目白押しで、大公殿下も民衆の前にお出ましになります。将来この時期にヨーロッパを訪問される際には、是非ルクセンブルク市へのご訪問をご検討ください。

ルクセンブルクの新型コロナ感染症の状況はある程度落ち着いており、昨年12月をピークに新規感染者数は著しく減少し、数ヶ月間死者数もゼロのままです。ワクチン接種は6月23日時点で人口の約半数が1回目を、約35%が必要接種回数を完了しています。7月1日からEU全域で本格稼働したEUデジタル新型コロナ証明書は、ルクセンブルクでも6月から発行されています。QRコードを読み取ると証明書の有効性が確認できるスマホアプリ “COVIDCHECK.lu”が、旅行の際だけでなく、国内でイベントや各種施設、飲食店などにアクセスする際に活用されています。EU域内の旅行が自由化される一方、EU域外からルクセンブルクへの不要不急の入国は9月30日まで原則禁止です。そんな中、6月13日から日本を含む数か国からの渡航受け入れが始まりました。日本から渡航の際には、搭乗前にワクチン接種や検査結果などの証明が必要ですが、現地に到着してからの検査や隔離期間は一部例外を除きありません。今後、日本と欧州の間で、ワクチン接種証明書の相互認証などが進めば観光やビジネスの往来が再開すると思いますので、期待しています。

東京オリンピックまで3週間となり、「ルクセンブルクからオリンピック選手団は来日するのですか」と尋ねられるようになりました。小国ルクセンブルクからも、陸上、水泳、卓球、自転車、乗馬、トライアスロンに出場する11名の選手団が来日します。5年前のリオオリンピックで話題になった卓球のニー・シャーリエン選手は7月に誕生日を迎え58歳での出場となります。コンディションとモチベーションを維持するその姿は感動的です。テレビでルクセンブルクの選手を見かけましたら、ぜひ応援下さいますようお願いします。

ルクセンブルクは金融やICTのイメージが強い一方で、製造業の伝統もあります。日本で活躍するルクセンブルク企業をご紹介するインタビューシリーズの第二回は、超硬合金メーカー、CERATIZITに登場頂きました。従業員数7000人超、製造拠点25ヶ所を超えるグローバル企業である同社は、日本に20年以上前に子会社を設立し日本の顧客のニーズに答えてきました。CERATIZIT Japanの馬場雅弘社長に、同社の歩みから超硬合金の歴史、ルクセンブルクとご自身の出会いまで幅広くお話を伺いました。当事務所のウェブサイトに掲載したインタビュー記事を是非御覧ください。

昨年から当事務所ではルクセンブルクの様々な産業をハイライトするウェビナーを開催してきました。より詳しく現地の事業環境や最新のトピックスをお伝えするべく、ウェビナーシリーズ「LUX TALKシリーズ ルクセンブルクの今を探る」を開始しました。6月29日には「第一回 欧州アクセラレータに聞く、スタートアップ海外展開成功の鍵」を開催し、多くのご参加を頂きました。同イベントのレポートは今後当事務所のウェブサイトやSNSに掲載してまいります。

また、「ルクセンブルクワインをもっと知りたい」という当事務所スタッフの声に答えて、『ルクセンブルクワインラボ』という企画を立ち上げました。毎回、様々な切り口でルクセンブルクワインを取り上げ、当事務所のウェブサイト上で紹介します。第一回として、ルクセンブルクで創業100周年を迎える老舗、ベルナール・マッサールを取り上げ、全編をウェブサイトに掲載しました。同社のワインは日本にも輸出されていますので、ご興味の湧いた方は探してみてください。後編は7月掲載になりますのでお楽しみに。

 

エグゼクティブ・ディレクター

松野百合子

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