今回は11月12月合併号としてお届けしております。2ヶ月分のニュースがあるのですが、まずこの話題から始めさせてください。ispace様、ミッション1の打ち上げご成功おめでとうございます。世界初となる民間の月面着陸を目指す同ミッションは、同ベンチャーにこれまで関わってきた多くの人々に感動を与えていますが、ルクセンブルク政府関係者も例外ではありません。2017年に同社がルクセンブルクに欧州本社を設置してから、ispace Europeはルクセンブルクの政府機関と共同研究を行い、またESAプロジェクトに参画するなどの活動を展開しています。ルクセンブルク国内でも、ispace Europeは日本とルクセンブルクの共同プロジェクトの好事例と認識されており、我が事のように応援する人が多くいます。ぜひ、来年4月に予定される月面着陸まで無事完了することを願っています。

11月30日から12月4日にかけて、ルクセンブルクのフランツ・ファイヨ経済大臣が来日しました。親日家で知られる大臣ですが、就任直後にコロナ禍となり、我々もようやくお迎えできました。来日して最初のプログラムは、大阪関西万博2025の公式参加契約書調印式への立会でした。日本側は石毛事務局長、ルクセンブルク側はハンゼン・コミッショナーが調印に臨み、調印後にルクセンブルクの建築事務所シュタインメッツ&デ・メイヤールの代表らがルクセンブルク館のデザインコンセプトを関係者に向けてプレゼンテーションしました。大臣は、その後、吉村大阪府知事を表敬し、万博参加をきっかけとした交流の活性化について意見交換を行いました。

大臣来日中に、ロジスティクスやスタートアップ・イノベーションの分野でも二国間の経済交流を推し進める重要な動きがありました。希少疾病領域に力を入れる医薬品メーカー、JCRファーマが、治験薬・商用医薬品の包装およびグローバル物流管理の欧州拠点をルクセンブルクに設立するため、土地建物を取得することでルクセンブルク政府と合意しました。同社は、コロナ禍にて、技術的ハードルの高いアストラゼネカ社のワクチン原液製造を日本国内で唯一担い成功したことで注目を集めました。技術力ならびに社会貢献度の高い同社の進出をルクセンブルクではファイヨ大臣以下、政府をあげて歓迎しています。スタートアップ・イノベーションについては、ルクセンブルク経済省傘下のルクスイノベーションが、150の官民研究機関が集積する研究学園都市であるつくば市との協力協定に調印しました。この協定をきっかけに、両国の企業や研究機関がテックイベントへの相互参加などを通じて交流し、欧州、日本それぞれの市場に向けて事業を拡大することが期待されています。宇宙、モビリティー、ICT、素材などの分野が将来の交流可能性セクターとして話題に登りました。

一方、長い交流の歴史を持つ日ルク企業、IHIとポールワースが合弁会社設立10周年を迎え、ファイヨ大臣が記念式典に参列しました。両社の交流は1974年にポールワースがIHIに高炉頂設備のライセンスを提供した際に始まり、2012年に設立された合弁会社IHIポールワースも順調に事業を拡大しています。ルクセンブルクはかつて世界有数の鉄鋼産出国であったため、製鉄プラント技術が集積しました。現在ではカーボンニュートラルに向けて、ポールワースとIHIとが手を組み、高い技術力で貢献することが期待されています。

ファイヨ大臣は、東京で中川経済産業副大臣、岡田万博担当大臣、星野宇宙政策担当副大臣と会談したほか、JAXAを訪問し山川理事長と意見交換し、またルクセンブルクに拠点を置いて活動する宇宙ベンチャー、ispaceのミッションコントロールルームを視察しました。

アジアを代表するオープンイノベーションイベント、ILSが11月29日から開催され、ルクセンブルクからモバイル通信企業、MTXコネクトが参加しました。同社は欧州に強みを持つモバイル通信オペレーターとして世界中でサービスを提供しています。昨今はプライベートLTE/5Gサービスを法人顧客向けに展開しており、今回の出展で日本のパートナー企業と出会うことを期待しています。

去る10月にルクスイノベーションならびにルクセンブルク商業会議所がJETROブリュッセル事務所が貿易投資交流の協力覚書(MoC)を締結しましたが、さっそく11月16日に、J-Bridgeオンラインセミナー『ルクセンブルク発!ICTビジネスの可能性』が開催され、ルクセンブルクの事業環境やICTの分野の研究協力の枠組みなど、ルクセンブルクの魅力や可能性に複数のスピーカーが語りました。今後、JETROブリュッセルが、日系企業向けにルクセンブルク拠点設立に関する現地専門家の相談サービスを提供して下さいますので、進出をご検討中の企業様にご活用いただけますよう願っております。

本年も大変お世話になりました。困難な情勢の中でむかえる年越しではありますが、皆様が良い新年を迎えられますようお祈りしております。

来年もどうぞよろしくお願い致します。

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