ルクセンブルクでは5月末から「大規模検査」と呼ぶPCR検査を実施中。症状のない人も検査することで、早期発見により第二波を避ける狙いですが、レポーターのHaag-松村さんにも案内が届き実施してきたそうです。現地レポート第10弾。

レポーター:

ルクセンブルク在住20年

Haag-松村 友里江さん

『今週、ルクセンブルクの大規模PCR検査を受けに行きました。この検査は、ルクセンブルクが5月27日から7月27日まで行う”Large-Scale Testing”(大規模検査)の一貫です。現在は、1週間に15万人に案内が送付されています。1日2万件の検査が可能だそうですが、7千〜8千人が検査を受けている状況だそうです。

検査を受けるには、案内を受け取らねばならず、インターネットサイトから検査センターと日時を選び登録します。検査センターは全国に17カ所有り、検査を受けるかは任意です。私の検査時間は7時10分と朝早く、その日は早起きをして行きました。

検査センターに着いてみると検査中の人達はいましたが、検査を待つ列はありませんでした。検査センター入り口に2人職員が立っていて、私が検査に来た旨が分かると手振りでこちらに来てと言われました。ネット登録直後に送られて来た確認Eメールの紙を見せ、メールにあるバーコードを読み取った後、身分証明書と照らし合わせて本人確認し、ドライブスルーを進む様に言われました。テントが2箇所に設置されており、最初のテント前にまた人が待っていて、今度は社会保障カードを見せ、そのバーコードを読み取り、そちらもまた確認メールと照らし合わせた後、次のテントに進みました。

 

そちらでは防御服を着た人が4人待っていて、そこでもまた確認メールのバーコードと検査キットのバーコードを読み込み、身分証明書と確認した後、検査キットを出してきました。検査は、娘も案内を受け取ったため一緒に予約し、検査を同時に受けました。車から降りる必要は無く、エンジンを切り私の方と娘の方の窓を下ろすだけで良く、まだ寒かったためそれもありがたかったです。検査は長い綿棒のような物を取り出し、「あ〜と言ってください。」と言われ、「あ〜」言いながら口を開けると、窓越しにその綿棒の様なもので喉の奥を擦り、プラスチック容器に入れていました。途中で声が出なくなるほど奥の方に差し込まれ、時間も長く感じましたが、痛くは無く、1分半程で終わりました。

センターに到着し検査を終え、検査センターを出るまで10分程度でした。とても早く終わり驚きました。ネット上での説明では、「検査結果は2日以内に携帯電話にメッセージで送付」とあったにも関わらず、検査を受けた同日の夜8時過ぎ頃には通知を受け取り、結果も12時間程で知らされました。携帯に送られたメッセージは、定型メッセージで名前などの個人情報は一切無く、そのメッセージで示されたインターネットサイトにアクセスし、自分の社会保障番号を打ち込んだ直後に携帯電話にコード番号がメッセージで送付され、そのコード番号を打ち込むと、名前など個人情報が入った画面に移り、結果を個人情報と共に確認出来る仕組みになっていました。全てが迅速に分かりやすくなっており、携帯電話のメッセージのみでも結果は確認できますが、証明書などの必要があれば、インターネットサイトにアクセスし名前の入った結果画面をPDFなどにすれば提示できます。予約から検査、また検査後も本人確認を何度もされ、個人情報を保護していると感じました。

ルクセンブルクが大規模検査をする理由は第二波を防ぐことにあり、同じ職場で働く人の6人中1人の割合で検査し感染を早期に見つけ対処できれば次の大きな感染を防ぐことができるそうです。学校の関係者などは5人に1人の割合で検査を受けるように案内を出しているようです。』

ただ、案内を受け取っても検査に行かない人も実際は半数ほどいるそうです。これも想定済みの結果との事だそうですが、今後さらに沢山の人が検査に行くようにしたいそうです。大規模検査を始めた当初は検査機関が混乱しないよう、送付した案内数も今より少なく、どの位の人が検査に訪れるか等も確かめながら検査数を増やして行った印象があります。先週当たりから周囲でも案内を受け取っている人が増えており、友人や同僚も既に検査を受けた人、これから受ける予定になっている人も多く、大規模と言うスケールを感じています。この様に検査を続けていけば、政府が目指す第二波を防ぐことが出来るのでは無いかと期待しています。

気になる結果の方ですが、6月18日発表では大規模検査で5万人が検査を受け、うち12人の感染者が確認されているとの事で、とても良い状況です。この状況を受け、公立小中高等学校では半クラスずつ隔週での登校を、6月29日から通常の様に全クラス全員毎週登校に戻すことになりました。夏休みが7月16日から始まるため、2週間程の全クラス登校になります。落ち着いた状況が続けば、夏休み後の9月からは通常登校になるはずで、心の準備や、勉強を少しでも出来る環境にし、今までの学習内容を皆んなで復讐する目的もあるそうです。3月から目まぐるしい変化の連続で、変化について行くことに疲れを感じている人が多いと実感しています。私も緩和に伴い、その時々で嬉しさを感じる一方、仕事などでは秋以降も未確定なものばかりで、柔軟性を求められる時期と思うものの、遣り難さも同時に感じています。

最近の嬉しい変化の一つに、ルクセンブルクの観光業が再開されることがあります。7月1日からルクセンブルク観光局主催の世界遺産の街を巡る屋外ガイド付ツアー等の実施が許可されます。20名以上の集会は禁じられているため、ツアー参加者は添乗員を含め19名まで、案内のガイドが1名ついて20名までの制限があります。今の取り決めでは、6月24日まで日本からルクセンブルクへの入国は原則禁止、日本も現在は欧州から入国制限をしている状況にあるため直ぐには無理ですが、今後、双方への渡航が通常化され、また日本からの観光訪問が可能になれば喜ばしいことです。

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